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通商産業省令第七十六号 電気工作物規程

昭和24年12月29木曜日 官報
 
通商産業省令第七十六号
電気事業法(明治四十四年法律第五十五号)第十三條および第三十條の規定に基き、電気工作物規程を次のように定める。
昭和二十四年十二月二十九日
通商産業大臣 稻垣平太郎

電気工作物規程(鉄道関連のみ抜粋)

目次
第一章 総則
第一節 通則(第一條−第七條)
第二節 機械および器具(第八條−第二十條)
第三節 電線、電路および附属設備(第二十一條−第三十八條)
第二章 送電線路、配電線路および電気鉄道用給電線路
第一節 通則(第三十九條−第四十九條)
第二節 低圧および高圧架空電線路(第五十條−第七十三條)
第三節 特別高圧架空電線路(第七十四條−第九十五條)
第四節 地中電線路(第九十六條−第百四條)
第五節 ずい道その他これに似た場所を通過する電線路(第百五條−第百七條)
第六節 保安通信設備(第百八條−第百十六條)
第三章 電気使用場所の工事
第一節 屋外工事(第百十七條−第百二十四條)
第二節 屋内工事(第百二十五條−第百五十九條)
第三節 ずい道、坑道その他これに似た場所の工事(第百六十條−第百六十七條)
第四章 臨時工事(第百六十八條−第百七十三條)
第五章 電気鉄道
第一節 通則(第百七十四條−第百七十六條)
第二節 電車線路および第三軌條(第百七十七條−第百八十八條)
第三節 帰線(第百八十九條−第百九十七條)
第四節 電車(第百九十八條−第百九十九條)
附則
電気工作物規程
第一章 総則
第一節 通則
(適用範囲)
第一條 電気工作物(自家用電気工作物を含む。以下同じ。)の施設ならびに電気工作物相互間および電気工作物とその他の工作物との間の障害を防止するために必要な施設に関しては、別段の規定のある場合、または通商産業大臣が特に指示する場合のほかは、この省令の定めるところによる。
(用語例)
第二條 この省令の用語は、左の例による。
一 「発電所」とは、発動機、原動機その他の機械器具を設備して電気を発生するところをいう。
二 「変電所」とは、構外から送電される電気を更に構外に送電または配電するために、構内に設備した変圧器、電動発電機、回転変流機その他の機械器具により変成するところをいう。
三 「開閉所」とは、発電所、変電所、需用場所以外の場所で、送電または配電のために構内に設備した開閉器その他の裝置により電路を開閉するところをいう。
四 「電線」とは、強電流電気の伝送に使用する電気導体をいう。
五 「電線路」とは、電線およびこれを支持または保蔵する工作物をいう。
六 「送電線路」とは、発電所もしくは変電所相互間、または発電所と変電所との間を連絡する電線路をいう。
七 「配電線路」とは、発電所、変電所または送電線路から、他の発電所または変電所を経過しないで需用場所に至る電線路で、引込線以外のものをいう。
八 配電線路中「架空引込線に隣接する部分」とは、左のようなものをいう。
イ 構内專用の低圧電線路でその構内だけに施設したもの
ロ 配電幹線から分岐し架空引込線に接続する電線の終端の引込柱から長さ百メートル以内の部分で道路(交通のはげしくない道路を除く。以下同じ。)に沿い道路上に施設されていないもの
九 「引込線」とは、配電線から分岐して需用場所の引込口に至る部分の電線をいう。
十 「架空引込線」とは、配電線路の支持物から、他の支持物を経過しないで、需用場所の取付点に至る架空電線をいう。
十一 「連接引込線」とは、一需用場所の引込線から分岐して他の需用場所の引込口に至る部分の電線をいう。
十二 「電気鉄道用給電線路」とは、発電所または変電所から、他の発電所または変電所を経過しないで、電車線または第三軌條に至る電線路をいう。
十三 「電車線路」とは、電車線およびこれを支持する工作物をいう。
十四 「電車線」とは、電車にその動力用の電気を供給するために使用する架空接触電線をいう。
十五 「支持物」とは、電線路に使用する木柱、鉄柱、鉄塔および鉄筋コンクリート柱をいう。
十六 「弱電流電線」とは、電信線、電話線、電気信号その他弱電流電気の伝送に使用する電気導体をいう。
十七 「地中管路」とは、地中に施設した電線路、弱電流電線およびこれを保蔵する管、ガス管、水道管、下水管、空気管ならびにこれに附属する地中箱および接続箱等をいう。
(電圧種別)
第三條 電圧は、左の区別により低圧、高圧および特別高圧の三種とする。
一 「低圧」とは、直流では七百五十ボルト、交流では三百ボルト以下のものをいう。
二 「高圧」とは、低圧の限度をこえ七千ボルト以下のものをいう。
三 「特別高圧」とは、高圧の限度をこえるものをいう。
(明文のない施設の手続)
第四條 この省令に明文のない施設については、その設計について資源庁長官の認可を受けなければならない。
認可申請手続)
第五條 この省令により資源庁長官または通商産業局長の認可を受けようとするときは、その事由、工事方法および関係図面を添えて申請しなければならない。
2 前項の場合において、資源庁長官に認可を申請するときは、申請書の副本を施設場所を管轄する通商産業局長(以下所轄通商産業局長という。)に提出しなければならない。
認可申請手続の例外)
第六條 電気事業法施行規則(昭和七年逓信省令第五十二号)または自家用電気工作物施設規則(昭和七年逓信省令第五十六号)により通商産業大臣または通商産業局長に認可を申請する場合において、その申請事項中この省令により資源庁長官または通商産業局長の認可を受けなければ施設できない事項、またはこれに関係するものがあるときは、その申請書中に特にその旨を明記しなければならない。この場合においてはこの省令による認可を受けないでよい。ただし、通商産業局長に認可を申請する場合において、その申請事項中に、この省令により資源庁長官の認可を受けなければ施設できない事項については、この限りでない。
(記録保存期間)
第七條 電気事業者または自家用電気工作物施設者は、三箇年間この省令により記録した書類を保存しなければならない。
第二節 機械および器具
(回転機および水銀整流器の絶縁耐力)
第八條 発電機、電動機、調相機等は、その最大使用電圧に従い、左の区別による試験電圧で、その卷線と大地との間の絶縁耐力を試験し、十分間以上これに耐えなければならない。
一 最大使用電圧七千ボルト以下のものは、最大使用電圧の一・五倍
二 最大使用電圧七千ボルトを超えるものは、最大使用電圧の一・二五倍
2 回転変流機は、その直流側の最大使用電圧と同一の交流電圧で、その卷線と大地との間の絶縁耐力を試験し、十分間以上これに耐えなければならない。
3 水銀整流器は、その直流側の最大使用電圧の二倍の交流電圧で、主陽極と外箱との間の絶縁耐力を試験し、また直流側の最大使用電圧と同一の交流電圧で、陰極および外箱と大地との間の絶縁耐力を試験し、各十分間以上これに耐えなければならない。
4 前各項の試験電圧は、最低五百ボルトとする。
(変圧器の絶縁耐力)
第九條 変圧器(計器用変成器を含まない。)は、ネオン管燈用変圧器またはエツクス線管用変圧器のようなものを除くほか、その最大使用電圧に従い、左の区別による試験電圧で、その卷線と他の卷線、鉄心および外箱との間の絶縁耐力を試験し、十分間以上これに耐えなければならない。
一 最大使用電圧七千ボルト以下のものは、最大使用電圧の一・五倍。ただし、最低を五百ボルトとする。
二 最大使用電圧七千ボルトをこえ、五万ボルト以下のものは、最大使用電圧の一・二五倍
三 最大使用電圧五万ボルトをこえるものは、最大使用電圧に一万三千ボルトを加えたもの
2 特殊の設計による変圧器で資源庁長官の認可を受けた場合は、前項の制限によらないことができる。
(特別高圧用変圧器等の施設場所)
第十條 特別高圧用の変圧器その他の機械器具は、別に定める場合を除くほか、発電所、変電所その他これに準ずる場所で取扱者のほか出入できないように設備した場所に裝置しなければならない。
(特別高圧配電用屋外変圧器の施設制限)
第十一條 市街地外において、特別高圧電線路に接続する配電変圧器で屋外に設置するものは、左の各号および第十二條により施設しなければならない。
一 一次電圧は、三万五千ボルト以下、二次電圧は、高圧であること。ただし、第十四條第三号の場合には、この限りでない。
二 総出力は、三百キロボルトアンペア以下であること
三 変圧器および特別高圧電気で充電する電線その他の器具は、地表上六メートル以上の高さに施設すること。ただし、その周囲にさくを設け、さくの高さとさくから充電部分までの距離の和を六メートル以上にする場合には、この限りでない。
2 市街地においては、特別高圧電線路に接続する配電用屋外変圧器を施設してはならない。
3 特殊の事情で所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、前二項の制限によらないことができる。
(特別高圧配電用屋外変圧器の保安施設)
第十二條 前條第一項の配電変圧器は、同項各号によるほか、危險のおそれのないように、左の各号に準じ適当に施設しなければならない。
一 特別高圧側に開閉器および自動しや断器を設置すること
二 変圧器の二次電圧が高圧の場合は、変圧器を設置した場所に隣接して監視人を常置する詰所を設け、その内に高圧側の險漏器を取り付けること
三 変圧器の二次電圧が高圧の場合は、高圧側に地上から容易に開閉できる開閉器を設置すること
(高圧配電用屋外変圧器の施設制限)
第十三條 高圧架空電線路に接続する配電変圧器で屋外に設置するものは、地表上四・五メートル以上の高さで支持物に堅ろうに取り付けなければならない。ただし、市街地外においては、地表上の高さを四メートルまで減ずることができる。
2 高圧地中電線路に接続する配電変圧器は、地中に適当に施設し、または第三十七條第一項の規定による第三種地線工事(以下單に第三種地線工事という。第一種地線工事および第二種地線工事についても、この例による。)により接地した金属製、石造、れんが造またはコンクリート造の変圧塔内に裝置しなければならない。
3 危險のおそれのないように左の各号により施設した場合、または特殊の設計により所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、前二項の制限によらないことができる。
一 需用者の構内に設置する架空線用変圧器で人が触れるのを防止するために充分なさくを設けた場合
二 地中線用変圧器を変圧塔の上に設置する場合で、変圧器およびその高圧側の充電部分を地表上三メートル以上の高さに保ち、変圧器の外箱ならびにケーブル(金属被の厚さ一ミリメートル以上のもの。以下同じ。)および附属物を收めた金属体を第三種地線工事で接地する場合
(特別高圧から直接低圧に変成する変圧器の使用制限)
第十四條 特別高圧を直ちに低圧に変成する変圧器は、左の各号の場合を除くほか、使用してはならない。ただし、資源庁長官の認可を受けた場合には、この限りでない。
一 電気炉またはこれに似たものに供給するために使用する場合
二 発電所、変電所、開閉所等において所内用として使用する場合
三 使用電圧三万五千ボルト以下の変圧器で、変圧器の内部の故障の場合に、自動的に変圧器を電路からしや断する保安裝置を設備する場合
(機器の鉄台および外箱等の接地)
第十五條 発電機、電動機、回転変流機、調相機等の鉄台および変圧器、電力用蓄電器、自動しや断器(低圧屋内線用のものを含まない。)等の外箱(外箱のない場合は鉄心)は、左の各号の区別により接地しなければならない。
一 低圧のものは、第三種地線工事
二 高圧および特別高圧のものは、第一種地線工事
2 直流三百ボルトもしくは交流百五十ボルト以下のものを乾燥した場所に施設する場合または左の各号の場合には、前項の接地を省略することができる。
一 鉄台または外箱の周囲に作業者用の絶縁台を設けた場合
二 高圧用の変圧器、電力用蓄電器、開閉器等を人の触れるおそれのないように柱上に設けた場合
三 直流では六百ボルト、交流では三百ボルト以下の機械器具を乾燥した木製の床その他これに似た絶縁性の物の上から取り扱うように施設した場合
(弧光を発する器具の施設)
第十六條 高圧または特別高圧用の開閉器、自動しや断器、避雷器その他これに似た弧光を発する器具と木製壁、天井その他の可燃質の物とは、高圧用のものでは一メートル以上、特別高圧用のものでは二メートル以上離さなければならない。ただし、耐火質の物で両者の者を離隔した場合はこの限りでない。
(高圧または特別高圧用機器および電線の施設)
第十七條 高庄、または特別高圧電気で充電する器具および電線は、人が容易に触れるおそれのないように、適当に裝置しなければならない。ただし、取扱者のほか出入できないように設備した場所に裝置する場合にはこの限りでない。
(ヒユーズの仕様および使用方法)
第十八條 ヒユーズは、第三項のものを除くほか定格電流の一・二五倍の電流に耐え、一定時間内に一定電流で確実に溶断し、かつ、使用場所に取付前の試験で左の各号に適合するものでなければならない。
一 低圧に使用せる定格電流二百アンペア以下のものは、これを水平に取り付けて(板状ヒユーズは、板面を水平とすること)試験し、五分間以上定格電流の一・四五倍の電流に耐え、一分間以内に二倍の電流で溶断すること
二 高圧に使出するものは、二分間以内に定格電流の二倍の電流で溶断すること
2 非包裝ヒユーズを使用する場合は、左のようなものを除くほか、つめ付ヒユーズを使用しなければならない。
一 コードつり内に裝置する定格電流五アンペア以下のもの
二 硬い金属製でその両端が端片に代用できる板状のもの
三 硬い金属製のもので、端子間の長さがそれぞれの定格電流により左の各号以上のもの
イ 定格電流十アンペア未満のものは、十センチメートル
ロ 定格電流二十アンペア未満のものは、十二センチメートル
ハ 定格電流三十アンペア未満のものは、十五センチメートル
3 つめ付ヒユーズおよび筒形ヒユーズの規格は告示で定めるところによらなければならない。
(配電盤の施設方法)
第十九條 配電盤に取り付ける器具および接続電線(管内におさめた電線およびがい裝ケーブルを除く。)は、容易に点検できるように施設しなければならない。ただし、低圧三十アンペア以下の需用者の屋内配電盤で建物の取付面と三センチメートル以上離し、その裏面の接続にゴム絶縁電線を使用した場合の裏面の部分については、この限りでない。
2 配電盤の裏面に高圧または特別高圧用器具または接続電線を施設する場合は、取扱者に危險をおよぼさないように、配電盤の裏側に充分な通路を設けなければならない。
3 特別高圧用の器具および接続電線を取り付ける配電盤には、その前方に取扱者のため、適当な絶縁台を設置しなければならない。
(器具の使用電流およひ電圧表示)
第二十條 電気工作物には、電気用品取締規則(昭和十年逓信省令第三十号)に違反する電気用品を使用してはならない。
2 開閉器、自動しや断器、抵抗器その他これに似た器具には、その使用電流および電圧を表示しなければならない。ただし、第十八條第二項第一号のヒユーズについては、この限りでない。
第三節 電線、電路および附属設備
(絶縁電線)
第二十一條 絶縁電線は、別に定める場合を除くほか、その使用の目的により、別に告示する規格および許容電流による綿絶縁電線、ゴム絶縁電線またはキヤプタイヤケーブルを使用しなければならない。ただし、資源庁長官の認可を受けた場合には、この限りでない。
(コード)
第二十二條 コードは、使用の目的により、別に告示する規格および許容電流による二箇よりコードまたは防濕二箇よりコードを使用しなければならない。ただし、資源庁長官の認可を受けた場合は、この限りでない。
(電線の抗張力)
第二十三條 電線の抗張力は、告示で定める。
(電線の接続法)
第二十四條 電線に接続点を設ける場合には、左の各号によらなければならない。
一 電線の電気抵抗を増加させないこと
二 電線の強さを二割以上減少させないこと
三 接続管または特殊の方法で接続する場合を除き、接続部分をろう付けすること
(銅線とアルミ線および鉄線の関係)
第二十五條 この省令で銅線と同等以上の強さおよび太さを有するものとは、硬アルミ線、イ号アルミ合金線または鉄線については、左の太さ以上のものをいう。
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指定銅線の太さ
硬アルミ線
の太さ
イ号アルミ合金線の太さ 鉄線の太さ
五ミリメートルの硬銅線 五十五平方ミリメートル 三十八平方ミリメートル 五ミリメートル
四ミリメートルの硬銅線 三十八平方ミリメートル 二十二平方ミリメートル 四ミリメートル
三・二ミリメートルの硬銅線 二十二平方ミリメートル 四ミリメートル 三・二ミリメートル
二・六ミリメートルの硬銅線 五十ミリメートル 三・二ミリメートル 二・六ミリメートル
二ミリメートルの硬銅線 五十ミリメートル 二・六ミリメートル 二ミリメートル
一・六ミリメートルの硬銅線 三・二ミリメートル 二・六ミリメートル 一・六ミリメートル
二・六ミリメートルの軟銅線 三・二ミリメートル 二・六ミリメートル 二ミリメートル
一・六ミリメートルの軟銅線 二十ミリメートル 二・六ミリメートル 一・六ミリメートル
一・二ミリメートルの軟銅線 二十ミリメートル 二・六ミリメートル 一・六ミリメートル
(開閉器の設置)
第二十六條 電路中必要な箇所には、別に定める場合を除くほか、その各極に適当な開閉器を設置しなければならない。
(自動しや断器の設置)
第二十七條 機械器具および電線を保護するため必要な箇所には、適当な自動しや断器を設置しなければならない。
2 地線工事の接地線、多線式電路の中性線および変圧器の低圧側の一端子を接地した場合の接地側の低圧架空電線には、自動しや断器を設置してはならない。
(検漏器の裝置)
第二十八條 高圧および一方五千ボルト以下の特別高圧電路中左のような箇所には、漏電の程度をつねに自動的に表示する検漏器を設置しなければならない。
一 発電所または変電所の引出用母線
二 特別高圧配電変圧器設置箇所の高圧側電路および高圧から高圧に変成する配電変圧器(單卷変圧器を除く。)の二次側電路
三 他から供給を受ける受電点
2 前項第二号後段の箇所には、監視人をおくかまたは電路に地気を生じたとき自動的に電路をしや断するように裝置したものでなければならない。
3 第一項第三号の受電点が、これに供給する発電所、変電所等に隣接するとき、受電した電気を受電点に隣接する場所の変圧器もしくは電動発機により変成するとき、または受電した電気を受電点に隣接する場所で使用するときは、その受電点の検漏器は、省略することができる。
(避雷器の設置)
第二十九條 高圧および特別高圧電路中左のような箇所には、適当に避雷器を設置し、その接地は、第一種地線工事によらなければならない。
一 発電所および変電所の架空電線引込口もしくは引出口または母線
二 第十一條の特別高圧変圧器の特別高圧側および高圧側
三 高圧架空電線路で供給する五百キロワツト以上の需用場所の引込口または母線
四 特別高圧架空電線路で供給する需用場所の引込口または母線
2 雷災の多い地方で避雷器を必要とするときは、前項各号以外の箇所にも裝置しなければならない。
3 第一項各号の箇所に直接接続する電線の短い場合その他特別の事由のある場合には、避雷器の設置を省略することができる。
(器具等の絶縁耐力試験)
第三十條 電路に設置した開閉器、自動しや断器、電力用蓄電器、誘導電圧調整器、計器用変成器等の器具は、その最大使用電圧に従い、左の各号の区別による試験電圧でその器具の充電部分と大地との間の絶縁耐力を試験し、十分間以上これに耐えなければならない。
一 最大使用電圧七千ボルト以下のものは、最大使用電圧の一・五倍。ただし、最低を五百ボルトとする。
二 最大使用電圧七千ボルトをこえ五万ボルト以下のものは、最大使用電圧の一・二五倍
三 最大使用電圧五万ボルトをこえるものは、最大使用電圧に一万三千ボルトを加えたもの
2 前項の規定は、発電所、変電所または開閉所に施設した機械、器具の接続線および母線の絶縁耐力に準用する。ただし、多心ケーブルについては、心線相互間および心線と大地との間の絶縁耐力も試験するものとする。
3 特別の設計による器具で資源庁長官の認可を受けた場合には、第一項の制限によらないことができる。
(高低圧の混触による危險予防施設および共同地線工事)
第三十一條 変圧器で高圧電路に結合される低圧電路には、その変圧器の中性点に第二種地線工事を施さなければならない。ただし、変圧器の構造または配電方法により、その中性点を接地しがたいときは、低圧側の一端を接地することができる。
2 前項の保安裝置を二個以上の変圧器に共通に使用するため、架空共同地線を設けるときは、左の各号に準じて施設しなければならない。
一 架空共同地線には、四ミリメートルの硬銅線またはこれと同等以上の強さおよび太さを有する金属線を使用すること
二 地線工事は、変圧器から二百メートル以内の地域で二箇所以上に施設し、その合成電気抵抗は、そのオーム数にその地線に接続する各変圧器の一次電流の和の四割に相当するアンペア数を乘じた積が百五十以下となるように保持すること。ただし、このアンペア数は、その地線に接続した変圧器中最大容量のものの一次側の自動しや断器の動作電流(非包裝ヒユーズでは、その定格電流の二倍)以上であること
三 低圧配電線の一線を架空共同地線に兼用するものでは、その架空共同地線は、一キロメートルを直径とする地域毎に前号の施設をすること
3 第一項の保安裝置を二箇以上の変圧器に共通に使用するため、地中共同地線を設けるときは、前項第二号および第三号に準じて施設しなければならない。
4 直流單線式電気鉄道用回転変流機、電気炉もしくは電気汽かんのようにつねに電路の一部を大地から絶縁しないで使用する負荷に專用の変圧器で供給する場合、または所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、第一項の制限によらないことができる。
5 第一項の地線工事の接地線と大地との間の電気抵抗は、二箇年に一回以上これを試験し、その成績を記録しておかなければならない。
(高低圧の混触による危險予防施設)
第三十二條 高圧計器用変成器の二次側電路には、第三種地線工事を施さなければならない。
(特別高圧と高低圧の混触危險予防施設)
第三十三條 変圧器で特別高圧電路に結合される高圧電路には、第三十一條第四項前段の場合を除くほか、変圧器の端子に近い一極にその最大使用電圧の一・五倍以下の電圧で放電する適当な裝置を施さなければならない。
2 変圧器で特別高圧電路に結合される低圧電路には、第三十一條第四項前段の場合を除くほか、第三十一條第一項の場合に準じてその変圧器の中性点または一端子に第二種地線工事を施さなければならない。ただし、接地線と大地との間の電気抵抗は、十オームをこえてはならない。
3 前項の地線工事の接地線と大地との間の電気抵抗は、二箇年に一回以上これを試験し、その成績を記録しておかなければならない。
第三十四條 特別高圧計器用変成器の二次側電路には、第一種地線工事を施さなければならない。
(電路の絶縁)
第三十五條 電路は、左の部分を除くほか、その全部を充分大地から絶縁しなければならない。ただし、資源庁長官の認可を受けた場合には、この限りでない。
一 第三十一條および第三十三條の規定により変圧器の低圧側を接地する場合の接地点
二 電路の保安の目的でその中性点を接地する場合の接地点
三 左のような場合の不絶縁部分
イ 直流單線式電気鉄道の帰線、試験用変圧器またはエツクス線発生裝置等のように電路の一部を大地から絶縁しないで電気を使用する場合
ロ 温水器、電気炉、電気汽かん、電解そう等のように大地から絶縁することが困難なものを危險のおそれのないように施設する場合
(特別高圧電路の中性点接地の制限)
第三十六條 特別高圧電路に保安の目的でその中性点を接地するために使用する抵抗器またはリアクトルは、故障の際、流れる地絡電流を安全に通ずることのできるものでなければならない。
2 高圧電路の保安の目的でその中性点を接地する場合は、その接地点は一箇に限り、また、その電路の一部に地気を生じたとき中性点から大地に通ずる電流は、五百ミリアンペア以下でなければならない。ただし、所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
(地線工事の種類)
第三十七條 地線工事は、左の三種とする。
一 「第一種地線工事」接地線と大地との間の電気抵抗を十オーム以下に保つもの
二 「第二種地線工事」接地線と大地との間の電気抵抗を、そのオーム数に変圧器一次側の自動しや断器の動作電流(非包裝ヒユーズではその定格電流の二倍)のアンペア数を乘じた積が百五十以下となるように保つもの。ただし、接地線と大地との間の電気抵抗は第三十三條第二項の場合を除くほか、十オームをこえることができる。
三 「第三種地線工事」 接地線と大地との間の電気抵抗を百オーム以下に保つもの
2 地線工事を施す場合において工事上やむお得ないときは、所轄通商産業局長の認可を受けて前項の制限を軽減することができる。
(各種地線工事の細目)
第三十八條 前條第一項の地線工事の接地線は、第一種地線工事には二・六ミリメートル以上の銅線、第二種地線工事には特別高圧用変圧器に対しては四ミリメートル以上の銅線、高圧用変圧器に対しては二・六ミリメートル以上の銅線、第三種地線工事には一・六ミリメートル以上の銅線または二・六ミリメートル以上の鉄線を使用しなければならない。
2 第二種地線工事の接地線を配電線利用搬送電話に使用する場合には、これに塞流線輪を裝置することができる。
3 前項の場合には、接地線と大地との間の電気抵抗をこれと塞流線輪のインピーダンスとの合成インピーダンスのオーム数に、変圧器一次側の自動しや断器の動作電流(非包裝ヒユーズの場合には、その定格電流の二倍)のアンペア数を乘じた積が百五十以下となるように保ち、かつ、寒流線輪と並列に適当な放電裝置を施設しなければならない。
4 第一種および第二種地線工事に使用する接地線を人が触れるおそれのある場所に施設する場合には、地板を地下七十五センチメートル以上の深さに埋設し、地板から地表上六十センチメートルまでの部分は、ゴム絶縁電線を使用し、地表上二メートルの高さまで竹または木のような不導体のといでこれを覆い、人の接触または他動的損傷を防止しなければならない。
5 前項の接地線を人の触れるおそれのある場所で鉄柱のような金属体に沿つて施設する場合は、前項の規定によるほか、地板を地中でその金属体から一メートル以上離して埋設し、かつ、接地線全部にゴム絶縁電線またはこれと同等以上の効力を有するものを使用して、その金属体から絶縁しなければならない。
6 第三種地線工事によつて接地しなければならない金属体と大地との接続がよく、その電気抵抗が百オーム以下であるときは、接地線を省略することができる。
7 第四項の接地線を施設してある支持物には、避雷用地線を取り付けてはならない。
 
第三節 ずい道、坑道その他これに似た場所の工事
(鉄道專用ずい道内の工事)
第百六十條 鉄道または軌道の專用ずい道内の電気工作物は、左の各号により施設しなければならない。
一 抵圧電線には、一・二ミリメートルの綿絶縁軟銅線またはこれと同等以上の強さ、太さおよび効力のある電線を使用し、これを軌條面上二メートル以上の高さに保つこと
二 高圧電線は、左のいづれか一によること
イ がい裝ケーブルを使用すること。ただし、他動的損傷を防止する裝置を施すときは、がい裝のないケーブルを使用することができる。
ロ 四ミリメートルのゴム絶縁硬銅線もしくは五ミリメートルの硬銅線、またはこれと同等以上の強さ、太さおよび効力のある電線を使用し、これを軌條面上三メートル以上の高さに保つこと
2 特殊の事情により、所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
(人の通行するずい道内の工事)
第百六十一條 人がつねに通行するずい道内の低圧電気工作物は、左の各号により施設しなければならない。
一 金属管工事またはケーブル工事により施設する場合を除くほか、電線には、一・二ミリメートルの綿絶縁軟銅線、またはこれと同等以上の強さ、太さおよび効力のあるものを使用し、がい子引工事により路面上二・五メートル以上の高さに施設すること
二 電線には、ずい道引込口において、開閉器を裝置すること
(鉱山その他の坑道内の工事)
第百六十二條 鉱山その他の坑道内の電気工作物は、左の各号により施設しなければならない。
一 低圧電線には、ケーブルまたはキヤブタイヤケーブルを使用する場合を除くほか、一・二ミリメートルのゴム絶縁軟銅線またはこれと同等以上の強さ、および太さの電線を使用し、がい子でこれを支持し、かつ、岩石または木材と接触しないように施設すること。ただし、電車の專用坑道内に施設し、軌條面上の高さ二・五メートル以上に保つ電気鉄道用給電線には、綿絶縁電線を使用することができる。
二 低圧電線を他動的損傷を受けるおそれのある場所に施設するときは、がい裝ケーブルを使用する場合を除くほか、これに適当な防護裝置を施すこと
三 高圧電線には、がい裝ケーブルを使用すること
四 坑道の引込口に近い場所において開閉器を設置すること
2 特殊の事情により所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
3 特別高圧電線を施設しようとする場合には、所轄通商産業局長の認可を受けた特殊の設計によらなければならない。
 
第五章 電気鉄道
第一節 通則
(電車線の電圧)
第百七十四條 電車線に使用する電圧は、直流低圧としなければならない。ただし、專用敷地内に施設する電気鉄道の電車線の限り直流高圧のものを使用することができる。
2 特殊の設計による場合は、資源庁長官の認可を受けて、前項の制限によらないことができる。
(通信上の誘導障害防止施設)
第百七十五條 直流單線式電気鉄道用架空電線路が、架空弱電流電線路(單線式電話線路を除く。)と併行する場合は、誘導作用による通信上の障害を及ぼさないよう、電線と弱電流電線との距離を四メートル以上離隔しなければならない。ただし、弱電流電線路の管理者の承諾を得たときは、この距離を六十センチメートルまでに短縮することができる。
2 前項の規定により施設するもなお既設架空弱電流電線路(單線式電話線路を除く。)に対し障害を及ぼすおそれがあるときは、更にこれを除くよう左の各号により、適当に施設しなければならない。
一 架空電線と架空弱電流電線との離隔距離を増加すること
二 直流電源の電圧波形が、平滑になるよう裝置すること
三 帰線の不絶縁部分および大地に通ずる電流を減少させること
四 弱電流電線の地板と電気鉄道の帰線との距離を、増加すること
(磁力観測所に対する障害防止)
第百七十六條 電気鉄道用直流電線路および帰線は、磁力観測所に対し、観測上の障害を及ぼさないように離隔し、またはその他の適当な防止方法を施さなければならない。
第二節 電車線路および第三軌條
(道路に施設する電車線の区分)
第百七十七條 道路に施設する電車線は、市街地では、一キロメートル以下ごと、市街地外では、適当の長さにこれを区分し、かつ、各区分に対する送電を、独立にしや断できる施設を設けなければならない。ただし、市街地では、土地の状況により所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
(電車線の太さ)
第百七十八條 電車線には、高圧では、十ミリメートル、低圧では、八ミリメートルの硬銅線またはこれと同等以上の強さおよび太さの電線を使用しなければならない。ただし、危險のおそれのない場合には、所轄通商産業局長の認可を受けて、この制限によらないことができる。
(電車線支持物に事業者名等の表示)
第百七十九條 電車線路の支持物には、事業者名または略称、支持物番号および建設年月を表示しなければならない。ただし、電車鉄道の專用敷地内に建設するものは、この限りでない。
(道路に施設する電車線支持物の径間)
第百八十條 道路に施設する電車線支持物の径間は、五十メートル以下としなければならない。ただし、土地の状況によりやむを得ない場合には、この制限を六十メートルまで延長することができる。
2 特殊の事情により所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
(高圧電車線の架設方法)
第百八十一條 高圧電車線は、カテナリー式により架設し、そのハンガーの間隔を五メートル以下に保たなければならない。ただし、ずい道内、橋の下部、その他これに似た場所に施設するものは、この限りでない。
(電車線の軌條面上の高さ)
第百八十二條 電車線の軌條面上の高さは、五メートル以上としなければならない。ただし、ずい道内、橋の下部、その他これに似た場所に施設するものは、工事上やむを得ない場合に限り、三・五メートルまで短縮することができる。
2 鉱山の坑道内に施設する電車線の軌條面上の高さは、工事上やむを得ない場合に限り、二・五メートルまで短縮することができる。
3 土地の状況その他特殊の事情により所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
(電車線と弱電流電線との混触による危險防止施設)
第百八十三條 電車線およびこれに接続するちよう架用線と架空弱電流電線とが交し、または接近する部分においては、相互の電気的接触から生ずる危險を防止するため、電気鉄道事業者において左の各号により施設しなければならない。
一 電車線およびこれに接続するちよう架用線と弱電流電線とが四十五度以下の角度で交し、または水平距離低圧では二・五メートル以下高圧では四メートル以下で併行するときは、電車線またはちよう架用線の上部に、第六十七條に規定する保護網を設けること。ただし、水平距離低圧では一・二メートル以上、高圧では二メートル以上で、垂直距離おのおのその一・五倍以下の場合には、この限りでない。
二 電車線およびこれに接続するちよう架用線と弱電流電線とが四十五度をこえる角度で交するときは、電車線またはちよう架用線の上部に第六十八條に規定する保護線を設けること
三 保護網または保護線と電車線もしくはこれに接続するちよう架用線または弱電流電線との垂直距離は、低圧では六十センチメートル以上、高圧では一・二メートル以上とすること。ただし、保護網と弱電流電線との垂直距離は、弱電流電線路の管理者の承諾を得るときは、三十センチメートルまで短縮することができる。
3 弱電流電線にゴム絶縁電線もしくは五ミリメートルの硬銅線またはこれと同等以上の強さおよび太さのある電線を使用するときは、前項の裝置を省略することができる。
ちよう架線および張線の接地)
第百八十四條 電気鉄道用給電線から分岐して電車線に達する電線は、これをちよう架する金属線からがい子で絶縁し、かつ、金属線は、第三種地線工事により接地しなければならない。
2 電車線の張線は、電車線間および電車線から六十センチメートル以内の部分を除くほか、第三種地線工事により接地しなければならない。ただし、架空單線式電気鉄道の半径が小さい軌道曲線部分で、電車ポールの離脱により障害が起るおそれのあるような場合には、張線の接地しない部分の長さを電車線から一・五メートルまで増加することができる。
3 前項の張線が、その断線時に電車線に接触のおそれがあるものは、更に支持点の近くにがい子を挿入し、前項の接地は支持点側だけに施さなければならない。
4 市街地で電気鉄道の專用敷地内または市街地外で電車線路に接近して弱電流電線が架設されていない場所では、前二項の施設を省略することができる。
(第三軌條の施設)
第百八十五條 第三軌條は、地下鉄道、高架鉄道その他人が容易に立ち入らない專用敷地内の鉄道に限り、施設することができる。
2 特殊の設計による場合には、所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
(第三軌條の防護施設)
第百八十六條 第三軌條は、人が容易に接触しないようにこれを防護しなければならない。
(第三軌條の接続線)
第百八十七條 電気鉄道用給電線と第三軌條との接続線および第三軌條相互を接続する電線(ボンドを含まない。)には、がい裝ケーブルまたはキヤブタイヤケーブルを使用しなければならない。
(電車線路および第三軌條の絶縁抵抗)
第百八十八條 電車線路または第三軌條の絶縁部分の絶縁抵抗は、その最大使用電圧に対する漏えい電流を軌道の延長一キロメートルにつき電車線は十ミリアンペア、第三軌條は百ミリアンペアをこえないように保たなければならない。
2 前項の絶縁抵抗は、架空複線式電車線は、両電線を一括したものと大地との間で測定しなければならない。
3 第一項の漏えい電流が軌道の延長一キロメートルにつき、電車線は二百五十ミリアンペア、第三軌條は一アンペアを超え二十四時間を過ぎてもこれを除去することができないときは、送電を継続してはならない。
4 絶縁抵抗は、やむを得ない場合を除くほか、毎日送電前これを測定し、その成績を記録しなければならない。
第三節 帰線
(帰線の絶縁)
第百八十九條 帰線(架空單線式もしくは第三軌條式電気鉄道の軌條またはその軌條に接続する電線をいう。以下同じ。)は、軌條間および軌條の外側三十センチメートル以内に敷設する部分を除くほか、総て大地から絶縁しなければならない。ただし、土地の状況により所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
(架空絶縁帰線の施設)
第百九十條 架空絶縁帰線は、架空電気鉄道用給電線路に準じて施設しなければならない。
(帰線用軌條の電気的接続)
第百九十一條 帰線用軌條は、溶接(継目板の溶接を含む。)による場合を除くほか、適当なボンドで電気的接続をしなければならない。
2 特殊の設計による場合または特殊の事情により、所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
(帰線と地中管路との離隔物)
第百九十二條 直流式電気鉄道の帰線の不絶縁部分と金属製地中管路とが接近し、または交する場合には、相互間の距離を一メートル以上としなければならない。ただし、工事上やむを得ないで左の各号により施設する場合または所轄通商産業局長の認可を受けた場合には、この限りでない。
一 帰線の不絶縁部分と地中管路との間に不導体の離隔物を設け、電流が地中一メートル以上を通過しなければ、両者間を流通することができないようにすること
二 前号の不導体の離隔物は、アスフアルトおよび砂からなる厚さ六センチメートル以上の絶縁物をコンクリートその他の物質で機械的に堅ろうに保護し、裂しないように施設したものであること
2 帰線と金属製管路を同一鉄橋に敷設する場合には、帰線と橋材との間の漏えい抵抗を充分に大きくするよう適当に施設しなければならない。
(地中管路に対する電しよく防止)
第百九十三條 直流式電気鉄道の帰線の不絶縁部分と金属製地中管路とが一キロメートル以内に接近するときは、第百九十四條の規定による場合を除くほか、障害を防止するため、その区間の帰線は左の各号により施設しなければならない。
一 帰線は隔日にその極性を転換するか、またはつねに負極性とすること
二 軌條の継目の抵抗の和は、その区間の軌條だけの抵抗の三割をこえないで、かつ、一つの継目の抵抗は、その軌條の長さ五メートルの抵抗に相当する値を、こえさせないこと
三 軌條は特殊の箇所を除くほか、長さ三十メートル以上にわたり連続して溶接(継目板の溶接を含む。)すること
四 軌條の継目には、直接溶接(継目板の溶接を含む。)する場合を除くほか、第百九十四條第一項第二号イおよびロ号によるボンドおよび太さ八ミリメートル以上、長さ六十センチメートル以上の銅より線を使用したボンドまたはこれと同等以上の効力のあるものを、溶接により二重に取り付けること
五 帰線の不絶縁部分にその一箇年間の平均電流が通ずるとき生ずる電位の差は、第百九十五條の方法によ計算し、その区間内のいずれの二点間においても、二ボルトをこえさせないこと
六 帰線の不絶縁部分にできる最大電位差を、自動的に記録する裝置を施設すること
2 前項のその区間とは、一変電所の電気鉄道用給電区域内において、その地中管路から一キロメートル以内の一つの連続した帰線の部分をいう。ただし、帰線と地中管路が百メートル以内において、二回以上接近するときは、その接近部分の中間において、離隔距離が一キロメートルをこえることがあつても、その全部を一区間とする。
3 地中管路の種類により所轄通商産業局長の認可を受けたとき、または地中管路の管理者の承諾を得たときば、第一項の施設を省略することができる。
4 軌條の継目の抵抗は、毎年一回以上測定し、その成績を記録しなければならない。
5 第一項の施設は、金属製地中管路が電気鉄道敷設後に施設される場合にも電気鉄道事業者がこれを行わなければならない。
(專用敷地内における電しよく防止施設)
第百九十四條 專用敷地内に帰線の不絶縁部分と土じようとの間を厚さ三十センチメートル以上の砂利、枕木等で充分に離隔して敷設する直流式電気鉄道の軌道と、金属製地中管路とが、一キロメートル以内に接近するときは、障害を防止するため、その区間の帰線は、前條第一項第一号、第二号および第六号ならびに左の各号により施設しなければならない。
一 軌條は、特殊の箇所を除くほか、長さ二十メートル未満のものは、溶接(継目板の溶接を含む。)により一つの長さを二十メートル以上とすること

 

二 軌條の継目には、直接溶接(継目板の溶接を含む。)する場合のほか、左のボンドを溶接により堅固に取り付けること。ただし、独立した長さ六十センチメートル以上のボンド二箇以上を堅固に取り付けるときは、溶接によらないことができる。
イ 短小なボンドは、素線の太さが銅線を使用する場合には、一・四ミリメートル以下、軟アルミ線を使用する場合には、一・六ミリメートル以下のものからなるより線で、振動に対し耐久力を大にするような適当な長さおよび構造のもの
ロ 前号のボンドと同等以上の効力をもつもの
三 帰線の不絶縁部分に、その一箇年間の平均電流が通ずるときできる電位の差は、第百九十五條の方法により計算し、軌道の亘長一キロメートルにつき二・五ボルトをこえさせないで、かつ、その区間内のいずれの二点間でも、十五ボルトをこえさせないこと
2 前項のその区間とは、一変電所の電気鉄道用給電区域内において、その地中管路から二キロメートル以内の距離にある一の連続した帰線の部分をいう。
3 前條第三項および第四項の規定は、第一項の場合にこれを準用する。
4 第一項の規定により施設するもなお障害を及ぼすおそれのあるときは、さらに適当な防止方法を施さなければならない。
(帰線の平均電流と軌條抵抗の算定法)
第百九十五條 第百九十三條第一項第五号および前條第一項第三号の計算は、左の方法によるものとする。
一 平均電流は、車両運転に要する直流側における一箇年間消費電力量(キロワツト時)を八千七百六十で除したものを基礎として計算すること
二 帰線の電流は、漏えいしないものとして計算すること
三 軌條の抵抗は、左の式により計算したものを標準とすること
R= ( 1 ) / ( W )
Rは、継目の抵抗を含む單軌道一キロメートルの抵抗(オームを單位とする。)
Wは、軌條一メートルの重量(キログラムを單位とする。)
踏切等における人畜への危險防止施設)
第百九十六條 帰線は、その不絶縁部分およびこれと大地との間にできる最大電位の差により踏切、その他公衆の通行する場所において、人畜に危險を及ぼすおそれのあるときは、これを防止するため左の各号により施設しなければならない。
一 車馬の通行する踏切に敷設した軌條は、他の部分に敷設した軌條から電気的に絶縁し、軌條と大地との間に電位差を生じないように施設すること
二 車馬の通行する踏切は、軌條間および軌條の外側二・五メートルにわたり堅固な基礎を施し、かつ、その表面にアスフアルト、コンクリート裝、石張等を行い、さらに、アスフアルト混和物のような絶縁性の物で目地をうめること
2 前項第一号の施設をする場合には、軌條の接続線には、ゴム絶縁電線またはこれと同等以上の効力のものを使用し、かつ、これを管、またはとい内におさめて施設しなければならない。
3 前項の接続線を腐しよくするおそれのある場所に施設する場合には、電線に濕気の浸入を防止するように適当な構造としなければならない。
(排流接続)
第百九十七條 地中管路の管理者の承諾があつたときは、所轄通商産業局長の認可を受けて、帰線と地中管路との電気的接続をすることができる。
2 前項の規定により電気的接続をしたときは、三箇月毎に一回以上その接続点を試験し、その成績を記録しなければならない。
第四節 電車
(電車内電路の絶縁抵抗)
第百九十八條 電車内の電路と大地との間の絶縁抵抗は、漏えい電流を低圧の場合には、規定電流の五千分の一、高圧の場合は、規定電流の一万分の一をこえさせないように、保たなければならない。
2 前項の絶縁抵抗は、毎日一回以上最大使用電圧で試験し、その成績を記録しなければならない。
(車両内電路の施設)
第百九十九條 車両内の電流の通ずる部分は、操業者のほか、人が容易に触れるおそれのないように施設しなければならない。
附 則
1 この省令は公布の日から施行する。
2 電気工作物規程(昭和七年逓信省令第五十三号)および電気工作物臨時特例(昭和十四年逓信省令第一号)は、廃止する。
3 旧電気工作物規程または旧電気工作物臨時特例に規定してある絶縁電線および可とう紐線は、当分の間、左の区別により使用することができる。
一 綿絶縁電線を使用しなければならない場合には、第一種絶縁電線、第二種絶縁電線または暫定第二種絶縁電線
二 ゴム絶縁電線を使用しなければならない場合には、第三種絶縁電線、第四種絶縁電線または暫定第四種絶縁電線
三 導体の太さ〇・七五平方ミリメートル以上の二箇よりコードを使用しなければならない場合には第一種可とう紐線、第二種可とう紐線または導体の太さ〇・七五平方ミリメートル以上の暫定普通コード
四 導体の太さ〇・七五平方ミリメートル以上の防濕二箇よりコードを使用しなければならない場合には、第三種甲可とう紐線、第三種乙可とう紐線または導体の太さ〇・七五平方ミリメートル以上の暫定防濕コード
五 導体の太さ〇・四平方ミリメートルの二箇よりコードを使用しなければならない場合には、第四種可とう紐線または導体の太さ〇・五平方ミリメートルの暫定普通コード
4 旧電気工作物規程または旧電気工作物臨時特例の規定により、通商産業大臣または通商産業局長のなした認可は、この省令の規定によりなしたものとみなす。
5 この規程施行の際現に施設しまたは施設中の電気工作物で、この省令の規程にてい触するものは、改築の際改修しなければならない。
6 旧電気工作物規程または旧電気工作物臨時特例の規定中他の命令の規定により現に準用されているものについては、その範囲内において、なお当合の間その効力を有する。